Interview
2019.10.15

グラフィックと空間の中間で表現方法を探る。
訪れる人が“体験する暖簾”。

グラフィックと空間の中間で表現方法を探る。
訪れる人が“体験する暖簾”。

【めぐるのれん展クリエイターインタビュー vol2.Colliuさん】

9月27日から日本橋で約2ヶ月間にわたり開催されている「NIHONBASHI MEGURU FES」。その中の一つ「めぐるのれん展」では多様なクリエイターが参加し、「日本橋の街を表現する暖簾」をデザインしています。10月11日(金)からの展示に合わせ、暖簾の制作に挑戦した若手クリエイター3名に連続インタビューをさせていただきました。

第2回にご登場いただくのは、アーティスト・モデルとしてご活躍中のColliuさん。企業広告や雑誌への出演、ドローイングやインスタレーションの制作等、幅広く活動されています。現在、京橋LIXILギャラリーの企画「クリエイションの未来展」の中で作品展「ディア マイ プリンス-Dear My Plinth-」も開催中のColliuさんに、今回の暖簾に込めた想いや表現方法等についてお話いただきました。

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「今も昔も変わらず賑わっている街」をオリジナルモチーフを交えて表現。

−今回暖簾を作るという話を聞いたとき、どのような印象を最初に持たれましたか?

最初に考えたのは、暖簾は“くぐるもの”ということです。人にくぐってもらうことを前提に、空間全体を意識した作りにしたいな、と考えましたね。

また、暖簾はシンプルな色・染の表現、というイメージを持っていたので、当初はそのような方向性も検討していました。しかし、暖簾の生地サンプルを見せていただいたら、カラフルな表現手法や、両面に柄をいれることができる生地などもあって・・・とてもわくわくしたのを覚えています。最終的には両面表現が可能な生地を選んだのですが、サンプルを見たときから「これでやってみたい!」と思っていました。

−「日本橋の街を表現する暖簾」というテーマでしたが、 Colliuさんは日本橋にどのようなイメージをお持ちでしたか?

古くからの歴史を持ちながら、現代の要素をうまく融合している街、というイメージでした。日本橋は伝統ある刃物屋さんやお出汁屋さんがとても現代的なお店を構えられていますが、ただ新しいだけじゃなくて、そこにあることの理由やストーリーを伴って見えるなと感じます。それぞれの歴史を背負いながら時代に合わせたアップデートを経て、このお店がここにあるんだろうな、と。自然に歴史やストーリーを感じられる、そんな街だと思います。

―そういったイメージを持たれながら、具体のデザインはどのように考えていかれたのでしょうか?

普段から、ぱっとインスピレーションが湧かないときは、デザインの対象やその周辺を、ひたすら調べるようにしています。そうすることで、自分にはまるかも、と思う考えやモチーフに出会えることが多いんです。

なので今回も日本橋の街と暖簾について調べていったのですが、最終的に一番参考になったのは「熈代勝覧(きだいしょうらん)」(江戸時代の日本橋が描かれている絵巻物)ですね。もともと「熈代勝覧」は知っていたのですが、改めてよく見てみることで、多くのヒントを得ました。暖簾もたくさん登場するので今回のテーマとも親和性が高いですし、「働く人で賑わう街」という作品につながる街のイメージを得るきっかけになりました。そして今も昔も変わらないこの賑わいを、「人」という軸で表現していきたいという考えに至ったんです。

普段から自分の作品で使っているキャラクターを取り入れて、オリジナリティを出すこともできるんじゃないか、とも考えましたね。

天王洲L

Colliuさんの作品には特徴的な人のキャラクターが登場する。

-今回の暖簾には、印象的な8人のキャラクターが描かれていますが、これはColliuさんの作品の特徴的な部分でもありますよね。

制作活動を始めたときから、自分のトレードマークがあることで、様々なテーマにフレキシブルに対応できるなと思っていました。アウトプットやタッチが変わったとしても、自分の作品のスタイルが確立できて、自分らしい表現が可能になるな、と。それもあってこのキャラクターのフォーマットを作ったんです。

-Colliuさんらしさは、作品の色づかいにも表現されていますよね。

暖簾の“シンプル”な色づかいというイメージを覆すような、カラフルさに挑戦してみました。私がもともとカラフルなものが好きというのもあるのですが、今回は日本橋を調べていくうちに行き着いた、浮世絵の背景からヒントを得てグラデーションにしているんです。色の力で、作品に触れてくれる人の気分が上がるといいな、と思っています。

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お兄さんが日本橋で働いていたり、日本橋の映画館に足を運んだり、とこのエリアには馴染みがあるColliuさん。「のれん展と同じ期間に個展が京橋で開催されているので、街を散歩しながら“はしご”してくれたらうれしいです」

見るよりもくぐってほしい!訪れた人が“体験”できる暖簾を。

-Colliuさんはグラフィックから立体まで幅広い作品を手掛けられていますよね。そういったご経験も踏まえ、今回「暖簾」を扱うことの面白さはありましたか?

暖簾は平面的なものではありますが、“くぐる”ことで動きが入って、空間的にも作用します。そういったグラフィックと立体物のちょうど中間にあるような存在をデザインするのは、とても面白かったですね。普段から、空間づくりのような表現の自由度が高い制作に魅力を感じていたこともあって、楽しんで取り組むことができました。

-逆に、デザインする過程で苦労された点はありましたか?

日本橋の賑やかさを人のモチーフで表現するということと、 “くぐる”というギミックを軸にするということは決めていたのですが、何か足りないな、と思ったタイミングがあって。そこからなかなか脱することができないという状況に陥りましたね。

―どのようにその状態を乗り越えたのですか?

いつも壁にぶつかったときは色んな人に意見を聞くようにしているので、今回もそうやって、友人に相談をしてみました。そうしたら、「せっかく両面印刷ができるなら表と裏で、時代を分けて描いてみたら?」というアドバイスをもらって。この客観的なアドバイスがきっかけになって、より具体的なデザインを考えられるようになりました。結果として日本橋の古き良き部分も表現できたんじゃないかなと思っています。

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「平面なものを空間的にいかに生かすかを心がけている」というColliuさん。暖簾の制作は、そのようなご自身のコンセプトにもフィットしたとのこと。

-今回は日本橋という街を対象とした創作活動でした。街という舞台で、今後挑戦してみたいことなどはありますか?

パブリックアートはとても興味がありますね。

これまでは平面を使ったクリエイティブが多かったのですが、ギャラリーも含め、作品が展示される場所は三次元の空間ですよね。なので、二次元で考えたものを、三次元でどう生かすか?ということをなるべく意識するようにしていて。最近では、立体や空間的な表現が増えてきていることもあって、その究極系ともいえるパブリックアートに興味が湧いています。多くの人が行き交う場所に作品が置かれることで、何かしらの目印になったり、待ち合わせ場所になったり・・・作品がその場所にあるということが、土地を性格づけるような側面がとても面白いなと感じています。

また、パブリックな場所での展示は、自分の意図とは違った形で作品が機能したりしますよね。そのような、人が関わることによる意図していない発展性も、パブリックアートの面白さじゃないかなと思っています。今回の暖簾も、展示場所はパブリックスペースということなので、見てくださる方の反応がとても楽しみです。ギャラリーなどでの展示とはまた違う反応も見られそうですよね。

-実際に暖簾の展示スペースを通った方にはどんな楽しみ方をしてもらいたいですか?

まずはくぐってほしいです!のれんに登場しているキャラクターと同じようなポーズで写真を撮るとか、色々な楽しみ方をしてもらえたらいいですね。展示なので、もちろん見てもらえるのはありがたいですが、“見る”よりも、いらしてくださった方に、何かしらの体験をしてもらえたらうれしいなと思います。

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取材・文:古田啓(Konel) 撮影:岡村大輔

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